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左利きの矯正について

 世の中、ドアノブも駅の自動改札口もATMも自動販売機も右利き用に作られています。親として子供の左利きを悩まれるのも分かります。書道教室に通えば左利きを矯正できるかなと習字教室に入会される方も多いでしょう。

 しかし、右手で書くことをいっぺんに矯正しようとすると、強いストレスとなって体にいろいろな症状(吃音など)が現れる可能性があります。矯正は様子を見ながら進めることが大切です。

 

 毛筆は右利きの文字ですから、硬筆は左手、毛筆は右手から始めてみます。だいたいの子はこの段階で落ち着きます。保護者の方の意向や子供本人が硬筆も右手で書くことを希望しているのであれば、硬筆も右手でチャレンジしてみます。やってみてストレスを感じるようでしたら、硬筆は左手に戻すのが良いでしょう。

 

 文字の上手さに関しては利き手は関係ないように思います。左利きでとても上手に字を書く子もいます。スポーツの世界では左手が重宝されますし、矯正がうまく進まなくても本人のストレスにならないようにするのが一番大事なことでしょう。できる範囲内で、右手と左手を場面ごとに使い分けることができたら素晴らしい才能ですね。

 

 日本習字では、学習者が左利きの矯正・高齢・その他(障害など)の場合、より意欲的に楽しく学習するために、支部長と検定係を結ぶ連絡用のカードがあります。

(2023/6/7)

学校の書写の授業で左利きを直されるのが苦痛という投稿に対して専門家の話を聞いた取材記事です。

 

硬筆書写では、小1と小2の教科書では左手での鉛筆の持ち方が教科書で紹介されているようですね。手本を見ながら書く欄は全学年の教科書で、手本の下か、左右両方に置くように工夫されているようです。

 

毛筆書写では、小3の教科書に左手で書く場合の用具の置き方が掲載されているようです。手本は半紙の右に、道具を左に置く形を紹介しています。

ただ、やはり毛筆は「止め、はね、払い」といった筆の運びが左手では難しいとありますね。

左手では筆先が筆の軸や手の陰に隠れて見えにくいのです。

当教室では矯正を目的とされてご入会されることが多いので毛筆は右手で書いていただいております。

ですから左利きの方も、手本は半紙の左に、道具は右に置きます。

 

利き手の左手で書く方が上手く書けるのか、毛筆に適した右手で書く方が上手く書けるのか、そこは個人差があるので一概にこれが正しいとは言えませんし、記事の最後にも書いてありますように学校の先生は適切な指導が難しいと思っています。地域の習字教室の指導者も同じ思いだと思います。

限られた時間内で多人数指導しなくてはならない指導者にとって、じっくりとした手厚い個人指導までは難しいのです。純粋に筆文字を楽しむだけの時間にできたら良いのですが、なかなか難しい現実ですね。